日本プラダー・ウィリー症候群協会 Prader-Willi Syndrome Association Japan (PWSA Japan)

本人・家族・関連専門職をはじめとするさまざまな支援者とともに、生活の質の向上、社会参加の推進、情報収集・発信、国際的交流・支援などに取り組みます。


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第6回 国際PWS連盟(IPWSO) 国際会議 in ルーマニア 報告
事務局長 庄司 英子

開催国  ルーマニア国、クルージ・ナポカ市
開催日  2007年6月21日〜23日
開催場所 Universitatea de Medicina si Farmacie "Iuliu Hatieganu" (大学医学部にて)

 低い山々に囲まれた草原に広がる緑が美しい、そんな山あいに位置するルーマニアのクルージ・ナポカの空港。日本からアリタリア航空、経由地のミラノからの同機には、偶然にもパム会長らと乗り合わせました。東京でお会いして以来、一年数ヶ月ぶりの再会でしたが、パムさんの笑顔にほっとしました。 私達の到着当日(6/21)はヨーロッパには珍しく猛暑でした。

 会議には、「日本PWS協会」から総勢9名(PWS本人2名、親5名、医師2名)が参加しました。
 世界各国からPWS本人、保護者、医師などの専門職など・・・・さまざまな立場の人々が一堂に会して行われる国際会議は、3年に一度開催され、今回の会議場所は、ルーマニアの夏休みを利用して、大学医学部の全面的協力により行われました。

 主催国のPWS協会、その「ルーマニアPWS協会」設立にあたって、PWSを持つ娘さんの母親ドリカさんのたった一人の活動から始まったと聞きました。そのバイタリティはPWSを持つ我が子への思いが、多くの方からの理解と支援を受けたのでしょう。 また、その弟さんの発表は、PWSを持つ姉への愛情が溢れほほえましく、会場に笑いを誘ってくれました。
 今年の会議には、各国から400名以上が参加したと聞きました。

会議スケジュール

6月21日
 医科学や療育・保育・教育分野の発表から会議は始まりました。午後から始まったIPWSOや各国PWSAのセッションでは、最初にIPWSO会長のパムさんが講演されました。会議の参加者の国はそれぞれだけど、共通言語は「この子らを愛すること」です、と言われ、PWSの子の親も関連専門家も共通の目的を持つ仲間なのだという意識を新たにしました。各国のPWSAの紹介が進む中で、2005年秋、日本PWS協会がIPWSOに加盟したことで、日本の代表団体として挨拶するよう要請を受け(代表委員の松本さんが残念ながら参加できなかったので)事務局長である庄司がスピーチし、皆から大歓迎されました。
6月22日
 日本からの親の参加者は会議に大半一緒に行動しましたが、時に、年齢別での話し合いもあリました。各国の医師・専門職及び親たちの講演と討議のテーマは「PWS早期発見による正しい早期育児の重要点」「栄養と食事のバランス」「行動の問題点と対応・体重管理システム」「成長ホルモン及び性ホルモン投与の状況」「PWSにみられる精神疾患」「「PWS専門のグループホームの実情」等々で、多くの発表と質疑応答が行われ、参考となる事例もあげられました。
また、長谷川知子医師がIPWSOからの依頼を受け、「日本の幼い子についての良い話」を発表しました。
6月23日
 会議最終日。午後5時からは、IPWSOの総会が開かれ出席しました。活動状況や経理状況報告、会則の改定案検討、次回開催地検討などが議題で、各国の出席者からさまざまな意見も多くでました。自由に思うことを堂々と述べ、激論応酬もあり、その後採決となり、決定したことには皆にこやかに気持ちよく従います。これぞ本当の民主主義!を見せて頂きました。(参考になりますね)
 次回の国際会議の開催地の選定については、台湾とイギリスがビデオでPR合戦、各国が一票の投票権を与えられ、台湾のリン先生の客観性のなかに情熱を込めた誘致作戦が勝ち・・・  次回3年後の「国際会議」は"台湾"に決定!

 朝9時から夕方5時までの会議は、場所を移動しての講義、発表などすべてが英語です。
その間、コーヒータイムと食事は大学医学部のロビーでビュッフェスタイル、それぞれ好きな飲み物やルーマニアの食事をいただきながら、出席者同士の共通の話題であるPWSについての情報交換(コミニュケーション)の場となって、交流と親睦を深める事ができました。 
 初日のディナーは歓迎会で、ルーマニアの素敵な民族舞踊と歌が披露されました。その後、IPWSOの前会長で現事務局長をされている伊のジョルジオさんが「IPWSOの歌」をみんなと一緒に歌われました。プロ級の歌声はすばらしかった!

 会議に出席して、参加各国の人たちとの積極的な情報交換をする事により、大変良い勉強になりました。知りたい情報は、親や医療関係者、科学者など専門としている方に直接聞くことができました。皆さんとても丁寧に教えて下さり、医師同士も発表のパワーポイントなどを交換したりしていました。

 私としては、PWSの人たちの学校卒業後の居場所のことが一番気になっていましたので、グループホーム(ケアホーム)について、アメリカ、イギリス、ドイツの国の方達の実情発表に注目し、さらに個人的にもお聞きする事が出来ました。私たち親の責務は、親亡き後も、子どもが安心して生活できる場所の備えをしてあげること。その準備をすることは親としての努めであろうと思っているからです。

 全会議終了後の観光は、残った各国の人たちと一緒だったので、「PWSという共通点」を通し、いっそう親しさが増して思い出に残ることでしょう。
 開催国ルーマニアまで日本からの直行便がなく、経由地イタリア、ミラノに宿泊しました。そこで素晴らしい人に出会う事もできました。ミラノにお住まいのPWSの子どもをもつ日本人のお母様(声楽家)です。イタリアPWS事情(障がいを持つ人への配慮は、横のつながりによる連携の素晴らしさ)と日本の現状を夜遅くまで語り合いました。一例としてイタリアでは、どんな小さな問題でも心理カウンセラーなどが見逃さず手を差し述べてくれる体制があるそうで、それは日本でも取り入れたい事であります。親も経験豊かな専門家を信頼して、その指示を素直に受け、それによって良い効果を得ているそうです。
 協会、病院、学校、その他必要な各部門との密な連携により、子どもは学習面、健康面など支えられ、親は精神面など助けられているとのことです。

最後に、今回の会議に参加しての感想として・・・・・
3年に一度開催された国際会議、PWSについて各国の研究報告や実態の発表、さら
に参加者との意見交換や交流を通し、また各国の取り組み対応等々、多くの事を学ぶことができました。福祉・医療についても、障がいを持つ人への各国の対応を聞き、羨ましいとも感じました。これらの学びを生かし、日本のPWSの人たちが笑顔で生活できるような社会を目指してこれからも活動を続けなければならないと深く心に刻んで、帰国の途につきました。

以上

お知らせ(1)

「ルーマニア国際会議」報告から
国際会議で発表されたPWSについての医学的な報告は、会議に出席された当協会の長谷川知子医師、川村みや子医師には後日、「会員のページ」に順次掲載予定。
「イタリアに於けるPWSへの取り組み」については青木千枝子さんから、後日、「会員のページ」に掲載予定。

お知らせ(2)

第1回 「アジア太平洋PWS会議」は、ニュージーランドで開催
  日 時 : 2008年3月1〜2日
  場 所 : ニュージーランド、ウエリントン

 「アジア太平洋PWS会議」 に参加しませんか?
どなたでも参加できます! 但し、登録が必要ですので、必ず協会に連絡して下さい。

 PWSを持つ子ども達の為に、各自が一番知りたい情報(医療面、教育面、行動面の問題、各国のグループホームへの取り組みなど・・共に考え、対応など一緒に学べます)を直接知ることが可能なのが、国際的な会議の場です。

参加可能なのは、本人・保護者・医療関係者・研究者・専門職・教育関係者・支援して下さる方・福祉関係者・・・・など、どなたでも参加できます。
お申し込みなど詳細は追ってお知らせします。

 アジア、太平洋地域として来年3月に開催されるNZは、水と緑の美しさ、人々の優しさで疲れを覚えている人の心も癒されることでしょう。福祉の進んだ国と聞いています。
プラス観光もいかがですか。 どうぞ、ご一緒しませんか!

 主催国NZのリンダさんは、アジアから、そして日本から一人でも多くの参加者を心から喜んで迎えて下さるでしょう。その国で多くの方々との交流と情報交換が出来るでしょう。また、IPWSOの会長始め主要なメンバーも、もちろん来て下さいます。
 各国と密に連携のとれているNZです。日本のPWSの実情をご自分の目で確認できます。
どうぞ、皆さまの計画の中に組み込んでみてはいかがでしょうか?
 みなさまの参加を、心からお待ちしています。

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