日本プラダー・ウィリー症候群協会 Prader-Willi Syndrome Association Japan (PWSA Japan)

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医師からのメッセージ

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5.離乳食の時期になったら

 離乳食は最初の食事体験ですから、とても大切です。量が多いのではと心配されるかもしれませんが、その月齢にあった食事量でだいじょうぶです。むしろ肥満をこわがるあまり、栄養失調になるほうが問題です。特に野菜ばかりの食事は、大事な三大栄養素(炭水化物、蛋白、脂質)が不足してしまうことがあります。三大栄養素は体や脳を作るための基礎となる栄養素ですから、少なすぎると発育や発達に支障をきたします。特に、油脂を大幅に減らさなくてはと思われるかもしれませんが、油脂は脳の発育に絶対必要なものですから不足はとても危険です。

 離乳食の食べかたも将来につながりますから大切です。じょうずに食べることで、急いで食べ、丸飲みになるのを防ぎます。しかし、最初からじょうずな子はいません。PWSの子も、あせらず正しいやり方で与えていれば、かならず上達します。たとえば、スプーンを口唇のところに軽く置くようにすれば、食べものを口唇で取り込み、口の中でもぐもぐして飲み込むという一連の動作が出てきます。毎日、食事のたびにしていけば、自然に身につきます。食べにくそうだからと、スプーンを上口唇になすりつけるのも見受けられますが、私たちはそうやって食べていませんね。これは正しい食べかたではないので、食べる能力が育ちにくくなります。スプーンはまっすぐ口に入れて、まっすぐ戻すだけでいいのです。

 子どもたちは麺類が好きですね。でも麺類はツルツルっと入り、噛まなくていいので、食べ過ぎるおそれがあります。幼い子には与えてはならないという歯科の先生もいるほどです。でもおいしいですから、食べさせたい時には、太い麺をやわらかく野菜などと一緒に煮て短く切り、丸飲みになりにくいように与えてはいかがでしょう。

 ひとりで食べるための練習を、いっしょけんめいにすることはありません。PWSの子は手が器用ですから、そのうち必ずひとりで食べられるようになります。それよりも大事なことは、正しい食べかたを身につけることです。それは親が食べさせている時しかできないことなのです。それに、 親子で一緒にする食事は、心を通わせる貴重な時間にもなりますから、ゆっくり楽しんでください。

 この時期、ミルクを飲めなかった子が食べられるようになるのは嬉しいですから、どんどん食べさせたくなるでしょう。ただしそれが肥満の引き金になることも多いので、注意が必要です。自分の分を食べてしまったら、もっと食べたそうでも余計にはあげないで、遊びに移りましょう。楽しく遊べば、食べることはすぐ忘れてしまいます。

 食事に問題がなくても、動かなければ食べたものが体の中で脂肪に変わり蓄積もしてしまいます。PWSの人は筋肉が少ないのでエネルギー代謝の率が低いのです。太りだしたなと思っても、厳しい食事制限をするより、乳幼児では目ざめているときに、赤ちゃん体操や、抱っこで体をつかう親子遊びをたっぷりしてあげるほうがよいのです。運動は筋肉を作って体を引きしめるのはもちろん、いろいろな面で効果がありますから、まだ頸がすわっていないから無理と思わずに、できるだけのことをしてあげてください。

(文責 長谷川知子 … 自身の経験や医学文献、親ごさんたちからの情報、それにPWSA-USAのMedical Alert を参考にしています)

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