日本プラダー・ウィリー症候群協会 Prader-Willi Syndrome Association Japan (PWSA Japan)

本人・家族・関連専門職をはじめとするさまざまな支援者とともに、生活の質の向上、社会参加の推進、情報収集・発信、国際的交流・支援などに取り組みます。


お問い合わせ

 

感想「PWSA USAエグゼクティブ・ディレクターのジャナリーさんから」

ジャナリーさん

 日本、東京にて――日本という国とその文化でもっとも印象深かったのは、秩序と礼儀正しさ、清潔さ、そしてこれまでその文化の美点を失うことなく進歩を遂げてきたということです。

 なかでも特に印象的だったのは、砂糖分の少ない伝統食のおかげで、PWSの子どもたちがほとんど太っておらず、世界のどの国にもまして多くの自由が彼らに許されていることでした。

 高カロリーのスナック類がある場所はほとんど見受けられず、規制されるべき食べ物はほとんどないようにみえ、もし子どもが食べ物をとってしまうようなことがあっても、結局ごくふつうの低カロリーの食品にとどまると思われます。

 残念なことに都市部では、マクドナルドやケンタッキー・フライドチキンなどのチェーン店が進出しつつあり、家族の人たちに我々の西洋文化が彼らを腐食しはじめていると憂慮されていますが。

 長谷川医師とさまざまな行き先へ張り巡らされている鉄道に乗りましたが、ビジネススーツに身を固めたおびただしい数の人々が、活発に、しかし非常に秩序正しく、行儀よく歩き回る姿には、まったく驚かされました。

 通路の床にはすべて「点字」が施され、視覚障害者が杖でなぞると、真っ直ぐ歩いていることや、どこで曲がればいいのか、またどこが角でどこが縁なのか、などがわかるようになっています(これは中国と台湾も同じである)。地下鉄の体制はまた、とても清潔で安全でもあるので、制服姿の子どもたちが大勢、大人の付き添いなしで学校に行き来しているのが見られました。

 我々は11歳のPWSをもつ男の子の学校を訪ね、いくつかの授業で彼を観察することができました。彼にはその前の夜に会ったのですが、彼は英語が話せないにもかかわらず、給食の時間を参観することが大事だと伝えてくれました。

 学校の玄関では、日本や台湾の多くの場所がそうであるように、靴を脱がなければなりませんでした。学校にはスリッパと靴を入れておくための小部屋(げた箱のこと)が用意されています。

 給食の時間になると、彼がなぜ給食が大事だと主張したのかがわかりました。その日彼は、ほかの子どもたちと同じように帽子とエプロンを誇らしげに身につけ、別の教室の子どもたちの配膳を手伝っていました。手伝いを終え、エプロン姿の子どもたちは元の教室に戻り給食を食べます。彼らはみな、彼を含め全員の配膳が終わるまで食べずに待っています。お盆の上には(彼だけでなく、全員が同じメニューで)、うず高く盛りつけられた野菜の山、白いご飯、薄いスープ、お茶。なぜ食事管理がそれほど一大事にならないのかが理解できました。

 泊っていたホテルで朝食時、なんと8歳ぐらいの男の子が自らすすんでレタスサラダを盛っていたのも、我々には面白いできごとでした。(疑問:アメリカでは子どもが自らすすんでサラダを食べることが少ないということだろうか?)

 児童館では、PWS児・者の親のグループの人たちとランチをとりながら懇談しました。一人の母親が、何度も読んでぼろぼろになった、われわれのウェブサイト「医療救急」資料のコピーを持っていました。彼女はそれが、彼女が持っているPWSについて書かれた資料のなかでもっとも貴重な資料で、子どもを診てもらいに行く医者にも全員それを見てもらいたい、と言っていました。

 今回の訪問先3ヶ国(※中国、台湾、日本)ではすべての国で「医療危機の予防と介入」を紹介しましたが、彼らのすべてが熱心に、新しい「医療緊急」の小冊子を自国語に翻訳したがっていました。

 食事制限がなく、食事と社交のための共用スペースのある共同住宅で、自分たち自身で暮らす、というPWSの大人たち向けの生活支援プログラムも見学しに行きました。そこには必要最小限の補助をする管理人女性が一人いるだけでした。

 また障害者専門の歯科クリニックも訪問しました。そこでは、障害者用に改造された設備と専門スタッフによる口腔ケアが月に何日か行われ、家族向けの指導も提供されています。

 授業を参観させてくれた男の子は、我々の子どもたちの多くがそうであるように鋭い方向感覚をもち、和食レストランと上の展望台へと案内をしてくれました(※息子はこういう場面で人の案内をしたがるのです。でも本当のところ方向感覚は鈍いようです。…母より)。まるでわたしの息子のマットが「ぼくの頭の中には地図があるんだ!」と言っているように。

※訳はわかりやすいようにしたり、注意書きを付記するなどすこし工夫をしてあります。

前<- 5/5 ->次

Copyright© Prader-Willi Syndrome Association Japan All rights reserved.