日本プラダー・ウィリー症候群協会 Prader-Willi Syndrome Association Japan (PWSA Japan)

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医師からのメッセージ

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10.乳幼児期の運動発達について

 理学療法(PT)を受けているお子さんは多いでしょうが、受身でやってもらうだけでなく、家で毎日おこなってはじめて効果があらわれます。また、家では訓練だけしても楽しくないので、続けるのがたいへんになるかもしれません。そのため、PTの先生に、このようなことも教えていただくといいでしょう。

  1. PT訓練だけでなく、その時期に家庭で親子が一緒にできるような楽しい運動も教わる。
  2. いずれできるに決まっていることを練習するより、基礎的な姿勢保持や運動能力を高める練習法をしっかり教わる。

 たとえば、生後1ヶ月くらいになったら、うつぶせ姿勢をさせると、背筋がしっかりしますし、ハイハイもしやすくなります。ただし、うつぶせにしている時は、横に向いていることを確かめ、呼吸が苦しくないよう見守りが必要です。また、うつぶせ姿勢のとき、そり返りが激しければ、PTの先生に相談してください。

 おすわりは自然にできるようになるので、ひとりで床の上に座る練習をする必要はありません。 PWSの子は筋肉が少なく、体を支えるための基礎的な力が弱いので、姿勢保持や運動がしにくいのですから、総合的な発達をうながすPT指導が必要です。そのためには、頸がすわったら、毎日何回か、お母さんの膝の上やベッド(ソファなど)の端のような「足のつかない、不安定な」ところに座らせて(端座位)、両手で子どもの胸の脇を支え、体をゆっくりとゆらす方法も効果的です。そのとき話しかけたり歌ったりしながらすれば楽しくできますし、心も通います。だんだんしっかりしてきたら、支える手を胸から腰に移し、その力をゆるめ、体をゆっくり大きくゆらしたりして立ち直りを促します。これは、低緊張の改善や体幹の筋肉の向上、バランス保持にも役立つので、ひとりで歩けるようになったときに、体を正しく支え、きれいに歩く力につながっていきます。

 また、おすわりができる頃から、腹筋運動(大人が両手をもって起きあがる運動)や背筋運動(うつぶせになって少しそり返る運動)も、できれば毎日やれるといいですね。歌にあわせて、親子で手をつないで体を前後にゆすると、楽しみながらやれるでしょう(音楽療法でも、「お舟はギッチラコ…」とか「おかあさん、なあに、おかあさんっていいにおい…」などの歌で楽しく運動します)。

 歩くのも、ほとんどの子が自然にしますから、歩く練習を早くからするよりも、楽しく工夫してハイハイを充分にさせるほうが全身の力がつきます。とくに坂道ハイハイ階段登り手押し車などは効果的です。それによって、手足だけでなく、体幹も鍛えられるので、姿勢も良くなり、歩行もしっかりしますし、身のこなしも良くなります。ハイハイやうつぶせを嫌がる子には無理強いしてはなりませんが、どうしたら運動を楽しめるか、PTの先生と一緒にくふうしてみてください。もしかして、体の感覚が敏感すぎるのかもしれませんので、感覚統合法を試みるのもいいでしょう。

 PWSの人は低緊張があるので、足の外反がおこりやすく、それが正しい歩行や筋肉の発達を妨げて運動がイヤになるといった悪循環をもたらします。そのようなときは、靴の装具や中敷きなどによる補正も必要になります。

(文責 長谷川知子 … 自身の経験や医学文献、親ごさんたちからの情報、それにPWSA-USAのMedical Alert を参考にしています)

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